2016年版 透析液水質基準達成のための手順書の公開とバージョンアップについて

2016年版 透析液水質基準達成のための手順書の公開とバージョンアップについて

透析医療において安全かつ清浄な透析液を提供することの必要性は周知の事実であり、我国で透析療法を行う上で必須の条件となっています。これまで、透析液水質基準は日本臨床工学技士会(日臨工)、ISO及び日本透析医学会(JSDT)と3つの団体が示すものが存在し、少なからず臨床現場での目標が統一されていませんでした。その理由の一つに、我々が当初より主張してきた「清浄とは、透析療法に用いる透析用水・透析液に関し、化学物質の汚染、生物学的汚染がなく、且つ安全に治療を行うことのできるものとし、それらを作り出す装置の設計、管理方法を含め清浄化と定義する。」という文言にある化学物質の汚染に関し、JSDTの水質基準は不十分でありました。この意見を第60回(2015年)日本透析医学会総会コンセンサスカンファレンスにおいて主張したところ、不足していた化学的汚染基準が新設され「2016年版 透析液水質基準」がJSDTより提示されました。今回、これらの情勢を勘案し、透析液水質基準をJSDTの示すものとし、その基準を達成するため臨床現場で分かりやすい手順を示すものへ改訂を行いました。本手順書は、特にわが国特有の多人数用透析液供給システムの管理に合致したものでありますが、各施設で異なる透析システムの清浄化を全てにおいて保証したものではありません。詳細は本手順書を参考に、透析機器安全管理委員会において各施設のシステムに合致した、管理マニュアルを作成し運用することを推奨いたします。また、作成にあたり本内容は日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN)、膜分離技術振興協会の確認を受けた後に、ドラフトを作成、その後日臨工ホームページ上に公開し会員、業界等からのパブリックコメントを聴取しました。第27回日本臨床工学会においてコンセンサスを得た後に正式発効いたしました。その後、JSDTへ本手順書の監修を依頼し、2017年7月21日に理事会の承認が得られた。そのため改めて「2016年版 透析液水質基準達成のための手順書」Ver1.01として再度発行致します。透析医療の質の向上につながることを期待いたします。

以上

                                                        2017年7月24日

公益社団法人 日本臨床工学技士会                                                                      透析関連安全委員会

 

2016年版透析液水質基準達成のための手順書 Ver 1.01